マシンビジョンカメラ選定ガイド: 解像度の選定

マシンビジョンカメラは、製品の検査や寸法測定に使われ、物体のサイズや欠陥を正確に捉えるための重要なツールです。ここでは、解像度の選び方について具体例を用いながら分かりやすく説明します。

1. 解像度とは

解像度はカメラのセンサーが持つ画素数(ピクセル数)で表されます。これにより、物体の細かい部分をどれだけ正確に捉えられるかが決まります。一般的に、解像度が高いほど、より小さな特徴を鮮明に捉えられます。

2. 解像度の選び方: 最小特徴サイズの考慮

解像度を決定する際の重要な要素の一つが 最小特徴サイズ です。これはカメラで検出したい最小の物体のサイズを意味します。この特徴を正確に捉えるためには、少なくとも3~5ピクセルでカバーすることが推奨されます。これにより、誤検出が減り、信頼性の高いデータが得られます。

3. 具体例と計算方法

次に、2つの具体例を使って解像度の計算方法を詳しく見ていきましょう。

A. 身長2mの人を1mm単位で測定する場合
  • 対象サイズ: 2,000mm

  • 最小特徴サイズ: 1mm

  • 必要なピクセル数:
    最小特徴を1ピクセルで捉える場合、必要な解像度は以下の通りです。
    $$
    \text{必要解像度} = \frac{2000 \, \text{mm}}{1 \, \text{mm}} = 2000 \, \text{ピクセル}
    $$
    したがって、2000 x 2000ピクセル(4メガピクセル)以上の解像度が必要です。例えば、Sony IMX255センサー(2448 x 2048ピクセル)を搭載したカメラが適しています。

B. 幅300mm、高さ100mmのプリント基板で5mmの傷を検出する場合
  • 対象サイズ: 300mm x 100mm

  • 最小特徴サイズ: 5mm

  • ピクセルカバーの要件: 1特徴あたり5ピクセルが理想的です。

    • 幅方向の必要解像度:
      $$
      \frac{300 \, \text{mm}}{5 \, \text{mm}/5 \, \text{ピクセル}} = 300 \, \text{ピクセル}
      $$

    • 高さ方向の必要解像度:
      $$
      \frac{100 \, \text{mm}}{5 \, \text{mm}/5 \, \text{ピクセル}} = 100 \, \text{ピクセル}
      $$
      必要な解像度は 300 x 100ピクセル ですが、実際には余裕を持たせて VGAカメラ(640 x 480ピクセル) が適しています。

表1.センサの解像度

規格 水平方向 垂直方向 総画素数
HD 1,280 720 約92万画素
HD+ 1,600 900 約144万画素
フルHD (2K) 1,920 1,080 約207万画素
フルHD+ 2,400 1,350 約324万画素
4K 3,840 2,160 約829万画素
8K 7,680 4,320 約3,317万画素

まとめ

解像度は、マシンビジョンカメラの選定における重要な要素です。対象物のサイズや検出したい最小特徴に応じて、適切な解像度のカメラを選ぶことで、正確な検査や測定が可能になります。解像度を最適化することで、より信頼性の高い検査結果が得られるでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA