1. はじめに

射出樹脂成型は多くの産業で広く利用されていますが、製造プロセス中にさまざまな欠陥が発生する可能性があります。これらの欠陥は形状や表面に現れることが多く、品質に大きな影響を与える可能性があります。この記事では、形状欠陥と表面欠陥に分けて、その一般的な種類と特徴を詳しく解説します。

  1. 成型品の欠陥一覧

カテゴリ

欠陥の種類

形状欠陥

ショートショット、フラッシング、バリ、ヒケ、ウォーピング、ウェルドライン、ボイド、エアトラップ、クラック、クレージング、ゲート残り

表面欠陥

色ムラ、ジェットティング、シルバーストリーク、フローマーク、フローライン、セルファイング、バーニング、デルミネーション、ブラックスペック、ヤケ
  1. 形状欠陥
    1. ショートショット(短射)(Short Shot)

      この欠陥は、成型品が不完全で一部が欠けている状態を指します。通常は、金型の隅や複雑な形状の部分で顕著に見られます。


  1. フラッシング&バリ (Flashing and Burrs)

    この現象は、成型品の端に余分な素材がついている状態です。これは通常、金型の隙間から樹脂が漏れ出ることによって発生します。



  1. ヒケ(縮み)(Sink Marks)

    成型品が冷却後に縮む現象です。この欠陥は、特に成型品の厚い部分で発生しやすいです。



  1. ウォーピング(反り)(Warping)

    成型品が反ってしまう状態です。多くの場合、この欠陥は成型品の冷却が不均一である場合に発生します。



  1. ウェルドライン (Weld Lines)

    素材の流れが合流した部分で弱い線ができる欠陥です。この線は通常、物理的な強度が低くなる場所となります。




  1. ボイド(Voids)

    成型品内部に空洞が発生します。これは樹脂が不均一に冷却されることで発生することが多いです。


  1. エアトラップ (Air Traps)

    成型品内部に気泡が閉じ込められる状態です。これは通常、素材が高速で金型内に射出された際に発生します。


  1. クラック &クレージング (Cracks and Crazing)

    成型品に亀裂が生じる欠陥です。これは樹脂の劣化、あるいは外部からの力によって発生することが多いです。



  1. ゲート残り (Gate Vestiges)

    ゲート部分からの素材の残留が見られます。これは金型設計や射出条件によって影響されます。



  1. 射出樹脂成型の表面欠陥
    1. 色ムラ (Color Streaks)

      成型品の色が均一でない場合があり、これは通常、素材の混合が不完全な場合に発生します。


  1. ジェットティング (Jetting)

    成型品に流れ跡が残ります。この欠陥は、樹脂が高速で金型に射出される過程で発生します。



  2. シルバーストリーク(銀筋)(Silver Streaks)

    筋状の模様が成型品に出ます。これは素材中の湿気や不純物が原因で発生することが多いです。



  1. フローマーク&フローライン (Flow marks & Flow Lines)

    成型品に線状の模様が出ます。これは通常、素材の流れが不均一である場合に発生します。



  1. セルファイング(Splay)

    表面に水滴状または銀色の模様が出ます。これは通常、素材に含まれる湿気が蒸発する際に発生します。


  1. バーニング(焼き付き)(Burning)

    成型品が高温で焦げる状態です。これは樹脂が過度に加熱されることで発生します。



  1. デルミネーション (Delamination)

    成型品の層が剥がれる場合があります。これは素材が不均一に冷却されることで発生することが多いです。


  1. ブラックスペック (Black Specks)

    成型品に黒い点や斑点が現れます。これは通常、金型や樹脂に不純物が含まれている場合に発生します。


  1. ヤケ(Degradation or Scorching)

    成型品が焦げたり、色が変わったりする現象です。これは樹脂が過度に加熱されたり、時間が経過して劣化した場合に発生します。


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