E3 ENGINE の概要
E3 ENGINEとは
E3 ENGINEは、TOMOMI RESEARCHが開発したAIベースの外観検査システムであり、製造業における品質向上を目的としています。以下が主な特徴です。
- 高精度な異常検知:微細な欠陥をAIが高精度で検出します。
- リアルタイム対応:生産ラインでの即時検査が可能です。
- 柔軟なモジュール設計:Trainer、Evaluator、Inferencerの3つのモジュールにより拡張性が高い設計です。
外観検査の重要性と課題
背景
外観検査は製品の品質保証において不可欠な工程であり、特に自動車部品や精密電子機器では迅速かつ高精度な検査が必要です。
主な課題
- 不良データの収集困難
- NGデータが少ない環境でも、E3 ENGINEは良品データのみを使用する「良品学習」により異常を検出します。
- 検査速度と精度の両立
- 高速生産ラインにおいても、AIが安定した精度を維持可能です。
- 異常の多様性
- 異常の種類が多様であるため、幅広い異常検出が求められます。
異常検知の技術概要
E3 ENGINEは、AIを用いた高精度な異常検知を実現するため、Pretrained modelを基にした良品特徴量の抽出と統計処理、機械学習を組み合わせた手法を採用しています。
1. 異常検知アルゴリズム
E3 ENGINEの異常検知アルゴリズムは、以下のステップで構成されています。
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Pretrained modelによる特徴量抽出
- Pretrained modelは、画像認識の特徴を事前に学習済みのAIモデルで、効率的に良品の特徴を抽出します。
- 特徴量の抽出後、製品の正常なパターンを正確に把握します。
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統計処理と機械学習
- 特徴量の分布を基に、主成分分析(PCA)やクラスタリング分析を用いて正常なパターンをモデリングします。
- 主成分分析では、良品データの特徴を少数の主要成分に圧縮し、異常を検出しやすくします。
- 機械学習モデルは、分類アルゴリズム(例:k-NN、SVM)を用いて異常判定を行います。
2. 良品学習
E3 ENGINEは、良品データの特徴を詳細に学習し、異常を検出します。この手法により、NGデータが少ない場合でも高精度な異常検知が可能です。
良品学習のプロセス
良品学習は、E3 ENGINEの基盤技術です。以下のように進行します。
1. 良品データの収集
最低200枚以上の良品画像を収集し、AIモデルの基礎データとして使用します。
2. 特徴抽出とモデル訓練
- Pretrained modelによって特徴を抽出し、得られた特徴量を基に統計処理や機械学習モデルで学習します。
- 特徴量の分布を解析し、正常な特徴を基準として設定します。
3. モデル評価とチューニング
- 異常スコアの閾値設定:E3 ENGINE Evaluatorを用いて、モデルの精度を評価し、異常スコアの最適な閾値を設定します。
- 再学習のトリガー:検査結果に基づいて再学習の必要性を判断し、フィードバックループを構築します。
4. 実運用とフィードバック
生産ラインでの実運用において、得られたデータでモデルを継続的に改善します。
E3 ENGINEの構成
E3 ENGINEは以下の3つのモジュールで構成されます。
1. E3 ENGINE Trainer
- 機能:良品データの学習を行い、AIモデルを構築します。
- 役割:Pretrained modelを活用した特徴抽出、統計処理、機械学習によるモデル構築を担当します。
2. E3 ENGINE Evaluator
- 機能:AIモデルの性能を評価し、OK/NGの判定基準を設定します。
- 役割:モデル評価、閾値設定、データクレンジングを行い、性能向上のためのフィードバックを提供します。
3. E3 ENGINE Inferencer
- 機能:良品の特徴を基に、実際の画像から異常を検出します。
- 役割:リアルタイム処理、異常スコアの算出、検査結果の集計を行います。