AIを活用した異常検知に使える産業データセット6選
はじめに
近年、製造業や産業分野において、AIを活用した異常検知技術が急速に普及しています。異常検知は、製品や工程の問題を早期に発見し、不良品を防止し、生産効率を向上させるための重要な手段です。しかし、AIが正確に異常を検知するためには、現実に即した高品質なデータセットが欠かせません。
本記事では、当社が注目している異常検知技術に関連する6つの産業データセットを紹介します。これらのデータセットは、異常検知アルゴリズムの開発や評価に利用されており、当社の技術開発にも役立っています。
1. MVTecAD
MVTecADは、工業製品の異常検知に特化したデータセットで、15種類のカテゴリ(例:ボトル、金属、織物など)の正常および異常画像が含まれています。各製品の異常には、汚れや欠け、歪みなどがあり、異常検知モデルのトレーニングに最適です。当社も、このデータセットを活用した品質管理ソリューションの開発に取り組んでいます。
- 活用例: 金属部品の表面検査や包装製品の異常検出。
- リンク: MVTecAD
2. VisA
VisAは、産業製品の異常検知に使われる大規模なデータセットで、9つのカテゴリ(コンデンサー、ファン、ヒューズなど)の異常データが含まれています。当社では、このデータセットを用いて、より汎用的かつ高精度な異常検知モデルの開発を進めています。
- 活用例: 電子部品の生産ラインにおけるリアルタイム異常検知。
- リンク: VisA
3. MPDD
MPDD (Metal Part Defect Dataset) は、金属部品の欠陥検出に特化したデータセットで、6種類の金属部品と12種類の欠陥がラベル付けされています。当社は、金属加工業や自動車部品の品質管理において、このデータセットを活用した自動化技術の研究を行っています。
- 活用例: 自動車部品の表面異常の高精度検出。
- リンク: MPDD
4. BTAD
BTAD (BeanTech Anomaly Detection Dataset) は、実際の産業環境で収集されたデータを元にした異常検知データセットで、3つの製品カテゴリと4つの異常タイプが含まれています。当社では、実環境データを活用し、より現場での活用を前提とした異常検知システムの開発に取り組んでいます。
- 活用例: 製造ラインでのリアルタイム異常検知システム。
- リンク: BTAD
5. DAGM
DAGMは、工業製品の異常検知向けに合成されたテクスチャデータセットです。10種類のテクスチャパターンが含まれており、表面の傷や変色などの異常を検出するために利用されています。当社の研究では、合成データを用いた効率的な異常検知モデルの開発に取り組んでいます。
- 活用例: 合成データを使ったコスト削減型の異常検知モデルのトレーニング。
- リンク: DAGM
6. DTD-Synthetic
DTD-Syntheticは、テクスチャの異常検出に特化したデータセットで、47種類のテクスチャカテゴリが含まれています。当社では、素材表面の微細な変化を捉えるためにこのデータセットを活用し、製造業向けの高精度な外観検査システムを開発しています。
- 活用例: 布地や木材製品などの表面異常検知。
- リンク: DTD-Synthetic
まとめ
今回紹介した6つのデータセットは、異常検知アルゴリズムの研究開発において重要な役割を果たしています。当社では、これらのデータセットを活用し、高度な異常検知システムを提供することで、製造業の品質管理を自動化し、効率を向上させる技術を推進しています。データセット選定の際は、自社製品や要件に適したものを選び、最適なAIモデルの開発に役立ててください。
今後も、当社はAI技術を活用した異常検知のさらなる進化に貢献してまいります。